第33章 夢のあとのその先(前編)、の巻
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中島くんと飲みに行って、結果奢らせてしまった形になってしまった日の翌日
出勤したオフィスに、その中島くんの姿は無かった
どうしたのかと思い、ぶっちょに問い合わせたら
なんだか具合が悪くて休んでいるとのコトで
そのまま数日間姿を見掛けず、大丈夫なのかなぁとか思ってたら
何故か違う部署に移動したと聞かされた
(……結局、金返せなかったなぁ)
あれから中島くんからの連絡は無く、こちらから連絡しようにも、なんだか番号を変えてしまったのか通じず
やっぱりあんな風に帰ってしまった俺を嫌いになって、話もしたくないってコトなんだろうかとか、思った
が。
まあ、後輩に奢らせたままっつうのは頂けないけど
別にあの子に嫌われたからってどうってコトもないしなぁとか思い(←さとちに嫌われなかったらそれで良いらしい(笑))
俺はそのコトを大して気にもとめず、その内に忘れてしまった
それから、しばらくの間はコレと言って変わった事もなく過ぎたのだが
夏も終わりに近付いてきた頃から
俺は、段々と落ち着きを無くし、気分の晴れない日を過ごしていた
…それは、何故かと言うと…
「…………はぁ〜…………あと、一週間か。」
俺は、赤いペンで何重にも丸が付けられたカレンダーの日付を見て
風呂から出たばかりでまだ濡れている髪を、バスタオルで適当に拭きながらため息を付いた
赤丸の日付けの下には、智くんが書いた達筆な文字で
『潤くん&さとしくんちへ、Go♡』
と記されている
(……あ〜……後一週間だよ……なんかこう、気が重いんだよなぁ……)
前回よりも、行くと決まってからが長かった所為なのか
俺は、松本家を訪問するあたって、前回以上に憂鬱な気分になっていたのだ
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