第32章 迷惑な新人くん、の巻
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「……しっかしなぁ……今時都内で電波が入らない店があるとは思わなかったなぁ……」
俺は、繋がらない携帯の液晶画面を眺めながら、ボソボソと独り言を呟いた
中島くんに「安くて美味しいから」と言われてやって来た居酒屋は
確かに安くて美味しいかったのだが、地下にあった為か、携帯の電波が届かなかった
俺は、居酒屋に到着してすぐに智くんにメールをしようと試みたのだが(←やっぱり数分置きにメールしようとしていた人(笑))
その時に電波が通じて居ないことに気づいたのだ
んで、店を出てメールして来ようかとも思ったのだが
中島くんにがっつり捕まってそれも出来ず
…で、あれよあれよと言う間に一時間もの時間が過ぎてしまっていた(←一時間ものて(笑))
「……しかし、ちょっと遅いな……う◯こか?」
俺は中島くんが席を外して向かったトイレのある方をちら見した
俺をがっつり捕まえてあーだこーだと一生懸命喋っていた中島くんは、さっきトイレに行ったのだが
なかなか戻って来なかった
こんなに時間が掛かるなら、ちょっと店を出て智くんに連絡を入れられたんじゃねぇのか
てか、どっかに公衆電話とかねぇかな
つうか、そろそろ帰りたいよな
…とか、思っていたら、中島くんが戻って来た
「おー、中島くん遅かったねぇ
…う◯こ?」(←訊くなよ(笑))
「うっ…!?
や、やめて下さいよっ!!////」
中島くんは、う◯こをして来たのかと訊かれると、顔を真っ赤にしてブンブン手を振った
「あははは、ゴメンゴメン(笑)
あ、ところでさ、トイレの前とかに公衆電話無かった?」
「…………………ありましたよ。」
「あ、……そう…?」
中島くんは、“公衆電話”と言う言葉に、若干顔をしかめると
ストンと俺の隣に座った
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