第32章 迷惑な新人くん、の巻
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「…………まだかなぁ///」
僕は、テーブルに頬杖をついて、壁に掛かっている時計をぼんやり眺めながら呟いた
(……さっき、翔くんから
“今から飯に行ってくるよ、なるべく早く帰るからね”
ってメールが来てから、まだ一時間位しか絶ってないんだもん……
……まだだよなぁ////)
僕は、頬杖をついて時計を眺めたまま、大きなため息をついた
昨夜、翔くんに今日新人くんとお食事に行くことを聞かされて
…僕は、それを承諾した訳なんだけど
いざ、若い男の子と翔くんが二人きりでお食事に行ってるってなったら
もう、気が気じゃなくて…
僕は、全然落ち着く事が出来なくて、無意味に部屋を掃除したりとか
テレビの番組をひっきりなしに変えてみたりとかして
…で、最終的に魂が抜けちゃったみたいになって、リビングのテーブルの前に座り込んで
ぼんやり時計を見続けるに至っていたのだ
(……せめて、村上さんが一緒なら良かったのに///)
でも、村上さんは超新婚さんだから、そんな事お願い出来ないし
若い子と一緒にご飯してるのには変わりない訳だから
きっと、結局それでも落ち着かないに決まってる
「はぁ….……早く、帰ってこないかなぁ////」
僕は、何度目が解らない大きなため息をついて
べちゃっとテーブルにうつ伏せた
「はぁあ………ん?」
また派手にため息をついたら、ずっと握りしめていた携帯が鳴りだした
「あれ?……公衆電話からだ…?」
見ると、それは公衆電話からの着信だった
今時公衆電話からなんて珍しいなぁ、なんて
ちょっと気味悪く思いながらも、一応着信に出る
「…もしもし?」
『……………………居酒屋◯◯』
「は?」
恐る恐る電話に出たら、随分間が開いて、作った様な低い声が聞こえた
(居酒屋◯◯って……翔くんが新人くんを連れて行ったトコだった様な……)
そう思って首を傾げていたら
その、作った様な低い声が言った
『お宅の旦那さん、そこで浮気してますよ』
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