第31章 虹の向こう…、の巻
.
「そうかなぁ?」
「そうさ」
「ん〜………あ、ごめんねお茶も出さないで!
いま持ってくるからちょっと待っててね!」
智くんは松本くんに「変わった」と言われて不思議そうな顔をして首を傾げた後
急に思い出した様にポンと手を叩いて、お茶を取りにキッチンへ向かった
「……あんたが、約束を守ってくれてるみたいで、安心したよ」
「へ?…約束、ですか?」
「ああ」
智くんがキッチンに入るのを見送って、松本くんが男前に微笑みながら俺を見た
「結婚式の日に約束しただろ?智を必ず幸せにするって」
「あ〜…」
(そう言えば、式の直前に松本くんが控え室に来て、智くんを幸せにする宣言をしたんだっけな…)
※正確には幸せにされる宣言です(笑)
確か、あの日に初めて松本くんに会ったんだよなぁなんて、ぼんやり思い出していたら
松本くんがまた話し始めた
「…不思議だよな、俺とあんたが…こんな風に同じ場所に居るなんてさ」
「ほぇ?」(←半分聞いてなかった(笑))
「…いや、なんでも無いよ(苦笑)」(←何かを諦めたらしい)
「お待たせ〜!
さとしくんは、100%果汁のジュースなら飲めるんだよね?」
松本くんがまた微妙な顔で笑っているところで、智くんがキッチンから飲み物を乗せたお盆を持って戻って来た
すると
それを見たさとしくんが、智くんに向かって手を伸ばした
「じゅーちゅ!じゅーちゅう!!///」
「うふふ///
あ、リンゴジュースなんだけど、大丈夫かな?」
智くんはお盆をテーブルに置いて、俺と松本くんの前に冷たいお茶を置くと
ジュースに手を伸ばすさとしくんの隣に、ストローの刺さったジュース入りのコップを持って座った
「ああ、大丈夫だよありがとう」
「良かった♪
はぁい、さとしくん、ジュースおいちおいちしようねぇ♡」
「じゅーちゅ、おいちおいち!!///」
「うふふふっ…かわいぃ♡」
智くんは、どう見てもジュースを欲しがっている幼児よりも可愛く微笑むと
さとしくんを膝の上に抱っこした
.