第31章 虹の向こう…、の巻
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智くんの待ち伏せと言う素敵すぎるサプライズ(虹のオプション付き(笑))の後、智くんと2人で仲良く帰宅した俺は
夕飯のお刺身を美味しく頂いていた
すると、その夕餉の途中で智くんが
この前のお礼に松本くんとさとしくんを家に呼びたいんだけどと言い出した
「ん?ふぁとひぃふんって、まふもほふんのあかはんほ??」
「……翔くん、それ、飲み込んでから話してね(苦笑)」
「ん〜………(ごっくん)……さとしくんって、あの松本くんとこの赤ちゃんのさとしくん?」
「うん、そう、ほら、潤くんにはこの前お世話になったでしょ?
それにさ、さとしくんもきっとこの前会った時より大きくなってると思うし
だから、会いたいなぁって思って……家に呼びたいなぁって、思ったんだけど……
……ダメ、かな?///」
「いや、ダメってコトもないけど…」
「……けど?」
ちょっと不安そうに俺の顔色を伺う智くん
その様子に、胸が小さくチクリと痛んだ
(…ああしようこうしようって…自分の意志を押し切るコトって出来ないんだな、智くんって…)
何時も、何をするのでも
智くんは、俺に一々確認を取ってからする
それはそれで非常に嬉しいし、また、確認してくれないと困るようなコトもある訳だから助かるんだけど
…その姿は時として、智くんが歩んで来た人生を彷彿させて、俺の胸を苦しくする
『日陰者』
以前、何かの話の途中で、智くんが過去の自分のコトをそう呼んでいたのを思い出す
養ってくれている人の顔色を伺い、出来るだけ表に出ないようにして暮らして来た智くんは
何かをするときに、人の顔色を伺うコトが癖になってしまっている節があった
「…あのさ、智くん」
「なぁに?」
「俺さ…いや、俺の許可なんか一々取らないで良いよ?そんなの」
「………え?」
智くんの涙目が、戸惑いの色を浮かべてゆらゆらと揺れる
俺は、箸と茶碗をテーブルの上に置いて、代わりに智くんの肩を抱き寄せた
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