第31章 虹の向こう…、の巻
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テーブルに頬杖をついたまま、カフェオレを飲んで
僕は、ぼんやり翔くんと暮らし始めたばかりの頃の事を思い出した
(翔くんと暮らし始めて、翔くんにバイトしてみたらって言われた時は
正直戸惑ったけど……やっぱり嬉しかった///)
翔くんは、何時も僕のコトを一番に考えてくれる
だから、ずっとお家に閉じこもってばかりの僕を心配して、外に出るコトを勧めてくれたのだ
(…そう言えばしおりちゃん、元気にしてるかなぁ)
しおりちゃんって言うのは、僕がバイトをしていた図書館のバイト仲間の女の子で
僕がバイトを辞めるちょっと前に、大学を卒業して就職する為、バイトを辞めてしまっていた
(今でも刑事さんと付き合ってるのかなぁ
…結構長く付き合ってるみたいだけど、結婚とかしないのかなぁ)
僕は、そんなコトを思いながら、空になったコップを手に立ち上がって
また、窓の外を見た
「…………あ、雨止んでる」
何の気なしに見た窓の外は、いつの間にかに雨が上がっていて
灰色の雲の隙間から青空が覗いている
「……晴れるかなぁ」
僕は、小さく呟きながら部屋の窓を開けた
湿って生暖かい風が、部屋に吹き込んで来て
僕の前髪を揺らす
「………ジメジメ、ベタベタ……やっぱり、梅雨きらぃ///」
僕はまた小さな声で呟いて、また窓を閉めた
(……雨止んだから、ちょっとお散歩にでも行こうかなぁ)
雨雲は、途切れ途切れで、もう雨を降らせそうに無かったし
何より、お家でぼんやりしているのが何となく嫌だった僕は
暇つぶしにお散歩に行こうと思った
(あ、そうだ
翔くんの会社の近くまで行ってみようかなぁ?
確か近くに大きな公園があった気がする)
ちょっと手前の駅で電車を降りて、ゆっくり歩いて行って
その公園で翔くんの仕事が終わるのを待っていようと思い付く
「うん、そうしよう…お夕飯お刺身だから、準備に時間掛からないし」
(…翔くん、きっとビックリするだろうなぁ///)
僕は、大袈裟に驚いて飛び上がる翔くんを想像してクスクス笑いながら、お米を炊飯器にタイマーでセットして
折り畳みの傘をバックに入れると、お家を出た
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