第31章 虹の向こう…、の巻
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(今なら、潤くんと笑いながらあの頃の話が出来る気がする…)
僕は、ジメジメとした雨の中を歩き出しながら
また潤くんのコトを考えた
潤くんも、赤ちゃんが産まれて父親になって
あの頃とはちょっと顔付きも雰囲気も変わった気がする
それは、悪い変化ではなく、確実に良い変化だと僕は思った
(なんだか、トゲトゲした感じが無くなって丸くなったって言うか……凄い、良い感じだよなぁ)
流石に、奥さんの話はしないけど
たまに逢うと、嬉しそうに息子の「さとし」くんの話しをする潤くん
そんな潤くんを見ていると、なんだか僕まで嬉しくなってしまう
(また会いたいなぁ、さとしくん……今度、家に誘ってみようかなぁ?さとしくん連れて遊びに来てって…
…この前お世話になったし、そのお礼にってコトでさぁ…)
あの時のお礼だって言ったら、きっと翔くんも納得してくれるんじゃないか
そんなコトを考えながら、僕は今度は夕飯のお買い物をする為に、何時ものスーパーへ向かった
(今夜は何にしようかなぁ……ジメジメして蒸し暑いから、サッパリしたモノが良いかなぁ?)
冷蔵庫の中身を思い浮かべながら、入り口脇に置かれていた特売のチラシを片手に店内を物色する
(ん〜……翔くんはやっぱお肉が良いんだろうなぁ……僕は、お魚のが良いけど)
そんなコトを思いながらお魚コーナーに差し掛かると、まぐろのお刺身の試食販売をやっていた
(あ、お刺身良いなぁ……お刺身なら翔くんも大好きだし)
「あぁ、お兄さんいらっしゃい!今日は良いマグロが安いですようっ!!///」
「え?…あ。」
よく見ると、試食販売をしていたのは、何時も僕にやたらに話し掛けて来るお兄さんだった(笑)
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