第30章 むらぴーとゆうこりんの結婚式、の巻
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(しかし、引き出物もベタだよなぁ……バームクーヘンと二人の写真入りの写真立てだぞ?
何の捻りもねぇし(苦笑))
何の捻りも無いと言えば
ぶっちょのスピーチもヒドかった…
俺は着替えをしながら、またぼんやりと披露宴の事を思い返した
スピーチの神だの何だのと、村上が散々おだて倒していたぶっちょのスピーチは
至ってベタなモノで
なんと、定番の三つの袋の話(笑)
しかも、それがその後に続いた親戚のおっちゃんと内容が被ると言う事態に(笑)
おっちゃんは初め、気転をきかせてどうにか違う話にしようて試みた様なのだが
結果、訳が解らなくなり
途中から三本の矢の話になりかかったスピーチは、結局のところ元の三つの袋の話に着地した(笑)
(ベタすぎるんだよなぁ…てか、スピーチの内容って誰もチェックしないもんなんだろうか?)
「翔くぅ〜ん、まだぁ?」
うすらぼんやりそんな事を思い返していた俺を、智くんの可愛い声が呼ぶ
「うん、もう着替えたから今行くよ」
俺は脱いだスーツをクローゼットに仕舞って、リビングへ向かった
リビングへ移動すると、テーブルの上にお皿が二枚並べられていて
智くんがそのテーブルの前に、バームクーヘンが乗った白い大きめのお皿を持って立っていた
「ん?智くんどうしたの?お皿、置かないの??」
「ふふっ……ねぇ翔くん、バームクーヘンの箱の中身、みた?」
「え?…見てないけど…どうして?」
「うふふふっ……なんかねぇ、凄い凝ってるの(笑)」
「はあ?」
智くんは何だか楽しそうにクスクス笑うと、バームクーヘンのお皿をテーブルに置いた
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