第30章 むらぴーとゆうこりんの結婚式、の巻
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(……羨ましいよね、そりゃ……解るよ、ニノ)
僕は、翔くんに当たる様に喧嘩腰になっているニノを、じっと見詰めた
…僕らは、お互いに男しか愛せないから
深く愛し合える人と出逢って、生涯共にある事を誓い合っても
それを、世間から認められて祝福して貰うことなんか、有り得なかった
だから
元が男の人でありながら、愛した男性と結ばれる事を、世間から認められ祝福される事が出来る裕子さんが
きっと、羨ましいんだと思う
僕だって……そうだ
裕子さんは、心が女の人で
元々女の人になりたいって思っていた人だから
根本的な所で、僕やニノとは違うけれど
それでも、やっぱり羨ましく思ってしまうのは
自分たちも、堂々と自分のパートナーが、生涯を誓い合った伴侶なんだって
そう、胸を張って宣言して、皆に認められたいって思いが、何処かにあるからに違いなかった
(でも、そんな事出来ないもんね…)
僕は、ふて腐れたような顔をしているニノの手を、ギュッと握った