第29章 悪夢の再来、の巻
「……ええ」
頷いて返事をする俺を見て、ニノが悪い顔をしながら付け足した
「大野くんから聞く前に、俺からゲームソフト二本と引き換えに情報を得てましたけどね」
「…後、ゲーム機本体もね。」(←笑)
「何だよニノ、ゲームソフト二本で智の過去を売ったのか?(笑)」
「…後、ゲーム機本体もね。」(←しつこいから)
「良いじゃないっすか、タダで喋った訳じゃないんすから♪」
「そうだけど……見返りがゲームソフト如きでペラペラ喋る話しじゃないぜ?」
「後、ゲーム機本体もねっ。(泣)」(←当根に持っているらしい(笑))
ニノは、執拗にゲーム機本体も買わされた事を口にする俺にチラッと目を向けてから
カウンターに頬杖を付いて、松本くんを見た
「んで?話したい事ってその話しだったんすか?」
「いや、その話を知らないと話せない話しだよ」
「……どう言う、事ですか?」
「実は、な…」
松本くんは、ふうっと息を吐き出してまたリザーブを一口飲むと
静かに語り出した
「……あの事件があった後……智が行方不明になって
俺は、どうにもやり切れない怒りを、例のストーカーにぶつけようとしたんだ」
「智くんを、襲った……店の常連だとか言う、男ですか?」
「ああ……それで俺は取り敢えず、智が働いていたクラブへ行ってヤツの行方を探ったんだが
まあ、当然と言うか……あの事件の後、アイツがクラブに出入りする事は無かったらしくて
その後どうしているのかは、解らなかったんだよ」
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