第29章 悪夢の再来、の巻
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「ようこそ、いらっしゃいませ」
「あ〜、いらはぃ、早かったっすね潤くん
……あれ?櫻井さんも一緒っすか?」
何時も通りきっちり営業スマイルを決める相葉くんの隣で
ニノが、俺と松本くんの顔を交互に見て不思議そうに首を傾げた
俺は、あぁまぁな、とかブツブツ言いながら、松本くんがスマートに座った隣におずおずと座った
「流石に俺も緊張してたからな
仕事が手に着かなくて早めに切り上げたんだよ(笑)」
松本くんはスタイリッシュに足を組んで、ニノからお絞りを受け取りながらそう言うと
チラッと俺の方を見た
「Σおっ……にゃ、は、へぃっ…!?(汗)」
「………せめて日本語を喋りなさいよ」
可笑しい位にキョドる俺を見て、ニノが呆れた様にため息をつく
俺は、ため息と共に差し出されたお絞りをふんだくってぷうっと膨れた
「し、ししし仕方ないだろっ!!」
「開き直るなや、撫で肩。」
「んだと、お前な…」
「お前言うなやっ(怒)」
「あははは、ニノは櫻井くんがお気に入りなんだな(笑)」
わぁわぁ何時も通り言い合いを始めた俺とニノを見て、松本くんが爽やかに笑う
ニノはソレを聞くと
「早く用件を話しちゃいなさいよ」
と言って、ぷいっとそっぽを向いた
「用件…(汗)」
「あんたが話し辛いなら」
口ごもる俺を見て、いつの間にやら頼んでいたリザーブのグラスを揺らしながら
松本くんがカッコ良くニヤリと笑った
「俺から話させてもらっても良いかな?」
「Σどっ…どぞうッ!!」
「潤くんは眉毛は濃いですけど、上野公園に犬を連れて立ってませんよ。」
「…誰が西郷隆盛だ。」
松本くんは、渋い顔をしてニノにツッコミを入れると
グラスの中のアルコールを一口飲んで俺に向き直った
「……俺の話しって言うのは、智の身に起きた……最悪な事件の話しだ」
「え……?」
(それってまさか…)
俺が智くんにプロポーズした日に聞いたあの話が頭を過ぎる
と
松本くんがフッと笑って、また一口リザーブを口にした
「……知ってたんだな、櫻井くん
智が、昔……ストーカーに襲われた事を」
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