第29章 悪夢の再来、の巻
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言うが早いか、松本くんに電話を掛けるニノ
電話は程なくして、松本くんに繋がったようだ
「あ〜、もしもし潤くん?お久〜、元気?
ん?俺?元気元気(笑)
息子ちゃんでっかくなったでしょう?喋るのもう?
ええ?……あ〜、そうなんだ(笑)」
ニノは電話に出た松本くんと、暫く当たり障りの無い世間話をしていた
で
一向に俺の話が出て来ないなぁ、なんて思っていたら、世間話が終わって
ニノは事も有ろうか、肝心の話を切り出さずに電話を切ろうとした
「うん、いや元気そうで良かったわ(笑)
じゃあ、またね潤くん」
(ちょ、ちょっと待てよニノまたねじゃないだろう!?(汗))
電話を切ってしまうのかと、焦って立ち上がる俺を片手で制して
ニノは、俺に目配せをしながら話を続けた
「え?何か用があったんじゃないのかって?
あ〜、そう言えば一個用事があったの忘れてたわ(笑)
うん
大野さんとこの旦那がさ、なんだか潤くんに訊きたいことがあるとか言ってたんですよね?
ええ、櫻井さん
うん、そう
…あ、そう?
じゃあさ、今夜にでもうちのBARに来ません?俺、櫻井さんに声かけとくから
急に二人っきりで会うのなんか気まずいでしょ?
うん
うん
…じゃあ、7時頃ね?
はいはい、ではお待ちしとりやす」
ニノは最後に「じゃあ後でね」なんて軽く挨拶すると、どや顔をしながら電話を切った
「…………すげー…………自然だ。」
「あったり前じゃないすか、俺と潤くんは高校生からの付き合いっすからね」
ニノはそう言ってにんまりと笑うと、携帯電話を仕舞った
「いや、マジありがとう、助かったわ」
「いえいえ、良いんすよ
店は儲かるし、俺は話しを堂々と盗み聞きできるし
一石二鳥っすから♪」(←相変わらずのちゃっかりさん(笑))
「………(苦笑)」
俺はちょっと複雑な気分になりながら
取りあえず、智くんに仕事でちょっと遅くなるから夕飯は要らないとのメールを送った
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