第29章 悪夢の再来、の巻
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佐藤さんのギャラリーで絵を描くことを決めて契約してから
1ヶ月が経った
そして
僕は今、契約後初めてギャラリー佐藤に来ていた
本当はもっと早くに描きに来る予定だったのだけれど
図書館のバイトを辞めるのにちょっと時間が掛かったのと
翔くんがどうしても、アトリエに中からしか開けられない鍵を付けて欲しいと申し出た為に
その工事をしたりなんかして
結局、1ヶ月が経ってしまったのだ
その間
僕は、教授の家に置きっぱなしだった描きかけの絵を取りに行ったりなんかして
結構バタバタした毎日を過ごしていた
そして、やっと落ち着き、鍵も翔くんの要望通り付けられたので
今、ギャラリーに居ると言う訳だったのだ
「中からの施錠の仕方は今説明した通りです
…何か、ご不明な点は御座いますか?」
「いえ、特に…」
「あるあるあるありますっ!!
本当に中からしか開かないんでしょうね!?」(←余りにも嫁が心配で外回りを無理やり村上くんに変わってもらった挙げ句、サボっている旦那)
「もぉ、翔くんしつこいから(苦笑)」
僕は、相変わらず僕を高橋さんから遠ざけようとする翔くんの背中から顔を出して
ふんふん鼻息を荒げて高橋さんにつっかかる翔くんの顔を覗き見た
「だって智くんッ!!///」
「ご心配なさらなくても、鍵は内側から開かないコトは社長も確認済みですし
そもそも、製作のお邪魔にならないように、私はアトリエの方へは出入り致しませんので」
「ほんとかぁ〜?」
「んもぉ〜〜!翔くんっ!!////」
「智くん、だってぇ〜〜!!////」(←あんたそればっかね(笑))
「だってじゃないでしょ!///」
僕は、可愛くイヤイヤする翔くんの背中をムギュっと抱き締めた
「ちゃんとメールするから……ね?」
「智くぅ〜ん♡///」
「だからちゃんと……仕事して。」(←笑)
「さ…智くぅ〜ん(泣)」
「大丈夫だから、ね?」(←必殺上目遣い(笑))
「………解った………後で絶対にメールしてね……///」
散々騒いでいた翔くんは、最後に高橋さんに
「絶対にアトリエに近付くなよな!!」
と牽制しながら、渋々仕事に戻って行った
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