第28章 智、画家になる!?、の巻
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「……では、契約成立と言うことで」
「はい」
何だかもやもやしたモノを引きずりつつ、ギャラリーの方へ出ると
時既に遅く
なんと、智くんが契約書にサインをしてしまった後だった
「Σおぅまいがッ!!」(←頭を抱えて膝から崩れ落ちる撫で旦那)
「高橋さんは、何時から何時までいらっしゃるんですか?」
へにゃへにゃと床に崩れ落ちる俺を横目で見てから
智くんが佐藤さんに訊いた
「このギャラリーの営業時間と同じですよ
通常、火曜日から日曜日までの、朝10時から夜7時までここにおります
ああ
日曜日は、隔週で休みになっておりまして…高橋!」
いつの間に来ていたのか
ギャラリーの入り口付近に立って話を聞いていたエロオヤジを
佐藤さんが呼んだ
「大野さんに、ギャラリーの営業の案内を差し上げて」
「はい」
エロ橋(←笑)は、済ました顔で返事をすると
パンフレットの束の中から営業時間の案内を取り出して智くんに差し出した
「営業時間は、ここに記載されている通りですが
大野さんがお望みでしたら、営業時間外でもギャラリーを開けますので
遠慮なくお申し付け下さい」
「ありがとう御座います」
「智くんっ!!ソイツに近付いちゃダメだッ!!!(泣)」
パンフレットを渡すついでに、ちゃっかり智くんの手をムニュッと握るエロ橋から
智くんを引き離す俺
「ちょっと翔くんってば///」
「だって、マジで危ないからっ…!!///」
「…大野さん…本当に宜しいのですか?」
俺の、余りの駄々コネっぷりを見て、佐藤さんが眉を寄せた
「良いんです」
智くんは、そんな佐藤さんにキッパリと返事をすると、続けて言った
「翔くんは、心配性なんです」
「だってぇ……智くん……(泣)」
情けない顔で項垂れる俺に、つつと寄り添って
智くんが、ちょいと恥ずかしそうに言った
「でも……そんだけ、僕のコト、大事に想ってくれてるってコトなんですけど…////」
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