第28章 智、画家になる!?、の巻
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佐藤さんは智くんの返事を聞くと、納得した様に深く頷いて言った
「そうですか。
で、今回の件について、お二人でお話はされたのですか?」
「ええ、したんですけど、まだハッキリは決めてないんです…
…具体的にここでどんな事をするのか解りませんし…
…どの位の期間で絵を仕上げないとならないのか、とか…」
「そんなに堅苦しく考えることは無いですよ
ああ、そうだ」
もじもじと可愛く俯き加減に話す智くん
そんな智くん話を聞いていた佐藤さんが、ポンと軽く手を打った
「そう言えばアトリエはご覧になりましたか?」
「いえ、まだ…」
「では、ご案内致しましょう……高橋」
「はい」
「お二人を奥のアトリエにご案内して」
「はい」
「すみませんが」
佐藤さんは高橋さんを呼ぶと、にこやかに微笑みながら立ち上がった
「私はちょっと此方で済ませなければならない所用が御座いまして、アトリエの案内はこの高橋が致します
所用が済みましたら後からアトリエの方へ参りますので
高橋の方からアトリエの説明を聞いてお待ち頂けますか?」
「解りました…翔くんも、それで良い?」
「うん、良いよ」
「では、私は少し失礼致します」
佐藤さんは軽く頭を下げてそう言うと、この前智くんの絵が置いてあった部屋がある方とは逆の通路へ歩いて行った
「さて……それではアトリエにご案内致します」
佐藤さんの姿を見送ってから、高橋さんが俺たちの方を振り向いてまたエロい微笑を見せた
「…お願いします」(←さとちを背中に隠すしょーたん)
「…此方です」(←それでもさとちを見ようと鼻の下を伸ばすエロオヤジ)
「………?」(←その2人の攻防の意味が解ってない天然さん)
俺は、相変わらず危機感が全く感じられない愛妻をエロオヤジの視線から隠しつつ
そのエロオヤジに後に続いてアトリエへ向かった
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