第28章 智、画家になる!?、の巻
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「……今週の土曜日、行ってみようか?」
何時もの様に、僕を優しく抱いてくれた後
僕と自分のカラダをキレイにし終わった翔くんが
僕にそっと布団を掛けてくれながら言った
「ん〜?……ギャラリーの話し?///」
「そう。…智くんが好きそうな絵もいっぱいあったから、ちょっとした美術館デートみたいで良くね?」
「うん、良いよ///」
「じゃ、決まりね」
「うん///」
僕は、隣に寝転んだ翔くんの逞しい腕に、コテンと頭を乗せた
「……安心するぅ///」
「んん?…腕枕?」
「うん、……僕、翔くんの腕枕だいすき////」
「へへ……俺はそんな智くんが大好き♡///」
「んふふふ////」
「えへへへ////」
鼻先をくっつけて笑いあう僕ら
(………はぁ、幸せ♡)
僕は甘えて、翔くんの胸に寄せた頬をスリスリしながら、溢れるような幸せに浸った
(はぁ………僕、こんなに幸せなのに、それ以上のモノを望む必要なんてあるのかな?
…ソレこそ、罰が当たっちゃうんじゃないかな?)
確かに
画家になるのは、僕の小さい頃からの夢だった
だけど
今は何よりも、翔くんが…翔くんとのこの幸せな毎日が大事だった
(……どの位時間とか裂かなきゃなんないものなのかな?
てか、僕、本格的に絵を描き始めるとソレばっかになっちゃって
時間の感覚も何もかも解らなくなっちゃうんだよね…)
そんな事になって、家事やら翔くんのお世話やらが疎かになっては大変だ
(……やっぱり、断るのが無難かなぁ)
「……ナニ考え込んでるか、当てようか?」
「え…?///」
ついまた考え込んでしまった僕の、寄せられた眉の間をちょんとつついて
翔くんが悪戯っぽく笑った
「俺の為に、絵を描くのは諦めようとか思ってない?」
「そ、そんなコト…///」
(…思ってたケド///)
図星を言われて俯く僕
そんな僕を、優しく抱き締めながら、翔くんが言った
「俺はさ、智くんが本当にやりたいことを我慢しないでやって欲しいって思ってるよ?
何時も言ってるけどさ
智くんの幸せが、俺の幸せなんだから」
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