第28章 智、画家になる!?、の巻
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「どうも、遅くなりました」
たぁちゃんちでお茶会を始めてから数十分後
弁護士の佐藤さんがやってきた
(わぁ……本当にいけめんだぁ///)
如何にも「出来る」って感じの渋いいけめんな佐藤さんに、思わず見惚れてしまう僕(←翔くんがそんな事知ったら気絶しますよ(笑))
ニノは、そんな僕の様子を見て軽くため息を付くと佐藤さんに言った
「あんた、うちの可愛い大野さんを誘ったんですって?」
「ちょ、ちょっとニノ!ヘンな言い方しないでよ!!/////」
「ああ、貴方はやはり、あの大野さんでしたか」
佐藤さんはニノの失礼な物言いを気にする素振りも見せずに、にこやかに微笑むと
マジマジと僕の顔を見た
「タイトルに“母”とあったので、作者の方のお母様なのだろうとは思って居ましたが、やはりそうなのですね
…しかも、貴方はお母様にそっくりだ」
「え?………じゃあ、貴方が持っているって言う僕の絵は、母さんを描いたものなんですか?」
「ええ、そうです
ですが、私はその絵に出会う前に、貴方のお母様を知っていたのです」
「…………え?」
思いもよらない事を言われて面食らう僕を、ニコニコと微笑んだまま見詰めて
佐藤さんが懐から大事そうに一枚の写真を取り出した
「これは昔、私がまだ中学生位の頃に、父から貰った写真です」
「あっ…!!」
そう言って差し出された写真には、まだ年若い母さんが写っていた
「何故、佐藤さんがこんな写真を…?」
「…当時、私は反抗期でしてね(笑)」
佐藤さんは懐かしそうに笑いながらその写真を眺めて言った
「父はその頃、一流企業から転職して弁護士になったばかりで…
…夢を追う余りに、それまで培ってきた地位を捨てた父に納得が行かなかった私は、父に反抗的な態度を取ってしまっておりましてね
それで、何を思ったのか父がこの写真を私に見せて
“父さんの仕事は、こんな綺麗な人に誉められるような立派な仕事なんだぞ”
なんて、言い出しまして(笑)」
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