第28章 智、画家になる!?、の巻
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「ギャラリー佐藤?」
「うん。……ニノ、知ってる?」
今日はたぁちゃんちでお茶会の日
で、何時もの様にニノと待ち合わせをしてたんだけど
僕は、待ち合わせ場所のカフェにやって来たニノに、来るなり先日の画商さんの話を切り出して訊いたのだった
「ニノの実家はお金持ちだし、そう言うのに詳しいかと思って……聞いたことある?」
「聞いたことあるかって……それってアレでしょ?
佐藤弁護士がやってるギャラリーでょ?
知ってますよ」
ニノはいきなりそんなコトを訊く僕を訝しげに見ながら答えた
「そっかぁ、知ってるんだぁ
…有名なの?」
「有名っつうか…佐藤さんって、うちの財閥の顧問弁護士の一人だから」(←大財閥のため顧問弁護士は1人じゃないらしい)
「えっ!?そうなんだ!?////」
ニノの実家の財閥と言ったら、かなり大きな財閥だったから
その顧問弁護士となれば、随分偉い弁護士さんに違いない
(そっか…ちゃんとした人なんだ)
何だか妙に安心する
「んで、その佐藤さんがどうしたって?」
ちょっと一安心、なんて思っていたらニノが僕の顔を覗き込んだ
「うん、実はね?その人のギャラリーで絵を描かないかって誘われたの」
「へぇ、凄いじゃないっすか、良かったっすね」
ニノは嬉しそうに笑うと、コーヒーを注文して僕のてをキュッと握った
「これで、大野画伯の誕生っすね♪」
「や、止めてよ…まだちゃんと決めてないし////」
「え?こんな美味しい話し断る気ですか?」
“画伯”なんて言われて照れる僕の顔を下から覗き込んで、ニノが首を傾げた
「だって…その、弁護士の佐藤さんってどんな人だか解らなかったし…///」
「佐藤弁護士の身元は俺が保証しますよ。
ちゃんとした全うな人間です」
ニノは、そう言ってから運ばれてきたコーヒーを一口飲んで
話を付け加えた
「…まあ、イケメンで仕事が出来るのに、40半ば過ぎで未だに独身だっつうのは
ちょっと引っかかるちゃ引っかかりますけどね」
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