第27章 にのあい舞妓茶会事件!、の巻
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「…………僕、今からニノんとこいく/////」
翔くんから話を聞いた僕は、くすんと小さく鼻をすすってそう言った
翔くんは、そんな僕の顔を心配そうに覗き込んだ
「行ける?智くん、大丈夫?」
「うん、大丈夫……もしも、ニノが一人ぼっちで泣いてたらイヤだもの……
……僕行って、一緒に泣いてあげるの////」
「一緒に泣くの?」
「うん…………どうにも出来ない時はね、うんと泣いた方がいいの////」
「いや、でも俺……智くんが泣くのはやだな///」
「僕は平気だよ?
だって、僕には翔くんがいるもの……だから、帰ってきたら、うんと甘えさせてね?/////」
「Σさせますともさッ!!!/////」
「……(笑)」
それから僕は
なんなら俺も一緒に行こうかと言う翔くんの申し出を断って、急いで夕飯の支度をすると
先に食べてて良いからねと言い残し、タクシーを拾ってニノのマンションへ急行した
実を言えば
翔くんがニノに電話して忠告した後
僕もニノに、向井さんに誘われても行ったらダメだって話をしたのだけれど
ニノは
「俺は理じゃなくて、母さんに会いに行くんだから」
なんて言って、全然僕の忠告にも耳を貸さなかった
その時には気付かなかったけれど
ニノはきっと
向井さんの家で一緒に暮らしているお母さんのコトを思って
自分がその申し出を断ったら、お母さんが向井家で気まずい思いをするのではないかと思ったのだろう
ニノはそんなコトは決して口に出しては言わないけれど
そう言う気遣いをする子だった
それに
本当のお兄さんの様に思って、何気に慕っていた向井さんが
口でそんなコトを言ってはいても、実際には自分に酷いことをする訳がないと言う
ニノにしては珍しい油断があったのかも知れない
(…………ニノの、ばか////)
「お客さん、着きましたよ」
「…ありがとう御座います」
僕は、ニノのマンションの前でタクシーを降りると
急いでマンションの中へ入った
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