第27章 にのあい舞妓茶会事件!、の巻
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翌朝
俺は、重たいカラダを引きずって向井家を出た
駅まで送るとしつこく付きまとう理を玄関の中に押し戻すと
理は、何時もの作り笑いを浮かべながら言った
「本当に大丈夫?カズ
昨夜は激しかったから、カラダ怠いだろ?
なんだったら、車で家まで送ろうか?」
「いいっつってんだろ!」
「仕方ないなぁ……じゃあ、気を付けて………またな。」
「……もう来ねぇよ、バカ」
まるで、再び自分に抱かれに来ることを催促するように“またな”と言う理から顔を背けて、ドアを閉めようとしたら理が言った
「来ない?でも、お母さんお前に土産話聞かせたいんじゃないか?」
「……お前が居ないとき来る」
「ははは、ソレは無理だな
お母さん、なんでも俺に話してくれるから、お前が何時来るかなんて筒抜けだよ(笑)」
「……ばぁーか」
「……コレ」
今度こそドアを閉めようとしたら、今度は理が俺のシャツの襟元を掴んだ
ちょっと引っ張っただけで、その襟元から昨夜の痴態の証拠が顔を覗かせた
「っ…!!///」
「……コレを見て、彼氏がどうするか、楽しみだな(笑)」
「………………………」
俺は黙って襟元を掴んだ理の手を引っ剥がすと
無言のまま、乱暴に玄関のドアを閉めた
「……………コレ、何時になったら消えるかな」
駅に向かって歩きながら、少し肌けた襟元を掻き合わせる
(…………どうしよう………なんて言い訳すりゃ良いんだ、こんなの…………)
雅紀が、一週間以上俺を抱かないなんて有り得なかった
もしも、一週間以上俺が雅紀にカラダを触らせなかったら
それこそ不審に思うだろう
…でも、この痣の言い訳は、どうやったって出来そうに無かった
(……お茶でカラダの自由を奪われて犯されましたとか言えっていうのか?
そもそも、危険があるのを承知の上であいつんちに行ったってコトになってんだろ、俺?
…………どう言ったって、無駄じゃんか)
「………どうすりゃ良いんだよ」
俺は、いっそ、一週間実家にでも帰ってやろうかなんて考えながら、電車に揺られていた
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