第27章 にのあい舞妓茶会事件!、の巻
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どうして
どうして、こんな事になっちゃったんだろう
「……………ど、して……………」
俺は、雅紀が出て行った寝室のドアを見ながら
ボソッと呟いた
「……何で、俺……何で……」
脱がされかかったシャツの前を掻き合わせて、昨夜の悪夢の痕を隠す
雅紀が出て行ってしまった今、そんな事をしたって無意味なのは解っていた
だけど
自分の体にその痕があるのを見たくなくて
俺は、掻き合わせたシャツごと自分の腕を抱えてうずくまった
「………何で………どうして、こんな事………」
俺は、ポロポロと涙を零してうずくまりながら
ぼんやりと昨日の事を思い返した
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櫻井さんから余計なお世話な電話が掛かって来た数日後
理から電話が掛かって来て
母さんが会いたがっているから、一度家に泊まりで遊びに来ないかと誘われた
そんな誘いがあるはずだと櫻井さんから聞いていた俺は
すんなりOKを出した
櫻井さんから俺に電話があったかどうか確認をしてきた理に
俺は、話は聞いたけどそれが何なんだよって言ったら
理は、笑いながら
「いや、話しを聞いてるなら良いよ」
って、言った
それからまた数日後の
櫻井さんから電話があった丁度一週間後
その日お茶会で一緒だった大野くんには、何も言わずに
俺は、母さんが待っているはずの向井家へ遊びに行った
「ちわーっす」
「 ああ、カズいらっしゃい」
向井家に到着すると、理が出迎えてくれた
俺は、お土産の包みを理に手渡して家の中を覗き込んだ
「母さんは?」
「今留守にしてるんだよ……とりあえず上がって?」
「うん」
後から考えたら
遊びに行く時刻は伝えてあったのだから、その時間に母さんが留守にしてるなんておかしな話だった
でも
一日中母さんと居れると思って浮かれていたその時俺は
その不自然さに、ちっとも気付かずにいた
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