第27章 にのあい舞妓茶会事件!、の巻
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「…新居、ですか?」
「ええ。新居と言っても新しく家を建てたのではなく、向井家の事ですが…
…お母さんは結婚して家に越して来たので、彼女にとっては“新居”ですからね(笑)」
「向井家、って事は……向井さんのご実家ですか?」
翔くんが自分の腕にしっかりしがみ付いている僕の手を握ってそう訊くと
向井さんは、またにっこり笑って答えた
「ええ、そうです………因みに」
向井さんは、黙って自分をじっと見ている僕を、チラッと見てからまた翔くんに視線を戻して言った
「恥ずかしながら、僕は未だに実家暮らしですが(笑)」
「!!///」
(向井さんも暮らしてる家に泊まりで遊びに行くの!?///)
「何故、それを僕に伝えさせるんですか?」
驚愕に言葉を失ったままの僕の手を、ギュッと握って翔くんが向井さんに訊くと
向井さんは、元からそんな顔なんじゃないかと思わせる位に、同じ笑顔を浮かべたまま答えた
「ただ、ついでだからお願いしただけですよ?
それに、カズに僕が危険だって忠告して下さるんですよね?
その上でカズが我が家に来て何かしらの間違いがあっても
それは少なからず同意の上の事だって事になりますから」
「!!!!/////」
「………そうですか」
翔くんは、声を発せられない口を手で覆う僕を、そっと片腕に抱くと
静かな声で言った
「なら、そのまま伝えて置きますよ……向井さん」
「有り難う御座います、櫻井さん」
「………/////」
(…………………翔くん、かっくいぃ/////)
本当は、そんな事思っている場合じゃ無いのは解っていたんだけど
余りにも凛々しい翔くんに、胸がドキドキと高鳴る
「…じゃ、帰ろっか?」
「ん//////」
翔くんは向井さんに一礼すると、顔をやたらに真っ赤に染めた僕を抱きかかえて歩き出した
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