第27章 にのあい舞妓茶会事件!、の巻
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「じゃ、帰ろうか?」
ぶっちょが不在なのを良いことに、応接室で仕事を済ませた俺は
定時になったのを見計らって、パソコンを閉じた
「……うん///」
智くんは、最初に会社に(舞子姿で)来た時よりは落ち着いてはいたけれど
何だか元気がないし、そわそわしている様に見えた
「…どうかしたの?智くん?」
「えっ…?///」
俺は、落ち着き無く携帯電話の電源を入れたり消したりしている智くんの手を握った
「電話すんの?…ニノに」
「……………ん…///」
智くんは微妙な顔をして俯くと、曖昧な返事をした
俺はそんな奥様の肩を抱き寄せると、複雑そうな顔をして俯いているその顔を覗き込んだ
「ニノから、連絡あった?」
「………うん」
「そっか……返事、してないの?」
「………うん」
「話し辛い?」
「……………うん///」
俺は、益々俯く智くんの小さな顎を捕まえて上向かせ
村上を追い出したドアを見て(←結局追い出したのね(笑))、誰も覗き見していないのを確認すると
への字に結ばれた唇にキスをした
「……家に帰ったら、ゆっくり話を聞いてあげるから……ニノに連絡すんのは、その後で良いんじゃない?」
「……そう………かな?///」
「うん、それで大丈夫だよ。」
「……じゃあ、そうする////」
智くんはちょっとはにかんだ様に笑うと、可愛くチュッとキスを返してくれた
「……ありがとぅ、翔くん////」
「どう致しまして(笑)」
俺はもう一度愛しい妻に口付け、手早く片付けを済ませると
智くんと仲良く手を繋いで職場を後にした
家に帰ってから詳しい話を聞くとは言ったものの
何気に気にはなっていたので、帰りの電車の中で智くんから話を聞いた俺は
しつぞやの智くんとニノの喧嘩(?)を思い出していた
あの時ニノは、智くんが信じてくれなかったと言って、珍しく人前で涙を流していた
そのニノが
果たして、智くんに内緒で疑惑のあった相手と浮気なんかするだろうか?
…俺にはどうしても、そうは思えなかった
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