第26章 そうだ、京都へ行こう。の巻
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まだ明るい
夕暮れ前の、旅館の一室
良く掃除の行き届いた、その畳の上で
着物の裾を霰もなく乱しながら
貴方の愛撫に溺れ、喘ぐ
イヤだイヤだ何て言いながら
貴方の熱に煽られて
カラダが貴方を欲しがって萌え立つ
まだ明るい内からコンナことをって思ったのは、本当
せっかく綺麗に着付けてくれたお着物が台無しだって思ったのも、本当
だけど
こんなに性急に求められ、着衣のまま行為に及んでいるのが嫌だと言うのは
…嘘。
「はぁっ……はっ、……あぁ、しょ、ぉ////」
「智くん……これ……全部脱がさないでも、良い?////」
「ゃ、ダメだってば……お着物、汚れ、ちゃう……ぁん////」
「ごめん智くん……俺、もう我慢出来ないよ////」
貴方が、僕のナカから指を引き抜いて
もどかしそうに、カチャカチャと金属音を響かせながら
スーツのスラックスを脱ぐ
それから
中指を引っ掛けてネクタイを緩めて
シャツの第一ボタンを外すと
荒い息をしながら畳に淫らな姿で寝転ぶ僕の上に
ゆっくりと覆い被さった
「…ごめんね、智くん…逢うなりこんな…////」
「…んっ、…もぅ…ほんとだょ////」
「ほんとゴメン…でも俺…智くんがいなきゃ…ダメなんだ////」
「あっ……ぁ、ぁっ、////」
低く掠れた声で囁きながら
貴方が僕の中に、少しずつ侵入して来る
下っ腹から
熱く、甘い快楽が沸き上がる
もっと、もっと、と
カラダが疼く
もっと、ずっと、と
ココロが叫ぶ
「…智くん…俺…智くんが好きすぎて、ごめん///」
「…ばか…そんなの、謝るコトじゃ…なぃ、でしょ////」
「…そうかな?///」
「…そうだょ……僕も、おんなじ、だもの///」
「えへへ……智……愛してるよ///」
「うふふ……僕も……愛して、る……あぁ…///」
少し夕暮れた空の色を宿して
白い障子が仄かに橙色に染まっていた
巣に帰って行く野鳥の声を遠くで聞きながら
僕は
甘い幸せな快楽の中へと
堕ちていった
大好きな
貴方と一緒に…