第26章 そうだ、京都へ行こう。の巻
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「おばさん、こんにちわ」
「お鈴ちゃんいらっしゃい
…あら、随分綺麗な舞妓はん連れてはるけど、見ないお顔やねぇ
新人さん?」
「そぉでぇす♪」
「……です////」
僕は、ノリノリで返事をするニノの隣で小さく返事をした
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僕は今、お鈴ちゃんに連れられて、置屋から少し離れたお茶屋さんに来ていた
そして
お茶屋さんに行く道すがら、お鈴ちゃんが、「実は…」と言いながら、僕らを連れ出した訳を話し始めたんだけど…
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「実はうち、いいひとが居てるんどすぅ」
「いいひとって、所謂旦那さんってやつ?」
ニノの目が、“いいひと”と聞いて好奇心にキラキラ輝き出す
「いえ、普通にかれしどすぅ」
(そっかぁ、お鈴ちゃん可愛いし、普通にハイティーンの女の子なら、彼氏くらい居るよねぇ)
とか思っている僕の横で、ニノが更に質問した
「ふうん……もしかして、今からその人と逢い引きとか?」
「ちょっと違いますぅ」
「ちょっと?」
「はぃ。それで、お兄さんがたにお願いがあるんどすぅ」
お鈴ちゃんはそう言うと、可愛らしく顔の横で両手を合わせた
「お願いって?///」
お願いと聞いて、あからさまに嫌な顔をするニノの代わりに訊ねると
お鈴ちゃんは合わせた手の方にちょっと首を傾けた
「うちのかれしのお友達が、芸者遊びをしたいて言い出しはって…
…勿論、余程のことでも無ければ一見さんはお断りしてるから、ムリどすって言うたんやけど
置屋のお母さんに内緒で、ちょっとお茶するだけでかまへんからって頼まれてしもて」
「はぁ」
「それで、今からかれしと、そのお友達と逢うのやけど、うち一人じゃしゃあないさけぇ
お兄さんがたに、ホンマの舞妓のふりして付きおうて欲しいんどすぅ」
…………え
「Σええっ!?///」
「なぁんだ、そんなコトか、いいっすよ♪」
「Σえぇえっ!?////」
僕は、お鈴ちゃんのお願いを快諾してしまったニノを
思わず二度見した
で
今に至っている訳なんだけど…
(ニノってば、安請け合いして…)
「……はぁ///」
僕は、お茶屋さんの女将さんに返事をした後
こっそりため息をついた
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