第26章 そうだ、京都へ行こう。の巻
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「………………え?」
なんて?
今、なんて言ったんだ??
「智くん、あの……もう一回言ってくれる?」
『ん?もう一回?』
俺は耳垢を指で軽く排除してから、再び携帯電話に耳を押し当てた
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今日は智くんのお茶会の日
んで、そこで智くんがニノにお金を貸して欲しいって話をすることになっていた
そんでもって
何時もなら、お昼休みとかではなければ電話して来ない智くんが
就業時間中に、メールではなく、珍しく電話でニノの返事を報告して来たのだけど…
俺は、智くんから聞かされた、出されるだろうと思っていたニノの交換条件に、耳を疑い
定期的に智くんに取ってもらっている耳垢(←笑)が、まさかの大量発生したせいかもと思い、聞き直したのだ
「うん、ちょっと良く聞き取れなくてさ(汗)」
『だから、貸してくれるって、ニノ』
「いや、その部分でなく、交換条件の方を…」
『ん?ニノと二人旅に行くってやつ?』
「ふふ、二人旅…」
(き、聞き間違いじゃなかったのか…やっぱし、二人旅って言ったんだよな?
だけど何故にそんな一大事をサラッと言うんだ!?)
ニノと二人旅ってコトは
智くんとニノが二人だけで旅行に行くってコトだろう
やはり、智くんがそんなとんでもないコトをサラリと言うのはどうにも解せない
(いやいや、旅行って言ったって、きっと日帰りなんだ
智くんが俺を残して泊まりで旅行になんか行くはずがない!)
俺は気を取り直して再度確認を取った
「あ、アレだよね?智くん
旅行って言っても、日帰りの旅行だよね?(汗)」
『ん〜ん、二泊三日だよ!』
「に…………」
(ににに……二泊三日ですって!?)
二泊三日の、お泊まり二人旅!?
「………………」
『もしもし?翔くん?急に黙ってどうし…』
「Σぃいいいやぁああああーーーーッ!!!!(号泣)」
『ゔ(汗)』
「Σやだやだやだやだやだぁああーーーーッ!!!(超号泣)」
俺はそこが就業中のオフィスであることを忘れて、声の限りに叫んだ
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