第24章 初ガチ喧嘩、の巻
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「………」
そうであろうと思っていたとはいえ
ハッキリと智くんの口から松本くんをまだ愛してると言われ
何だか目眩がして……動悸がした
智くんはそんな俺を抱き締めた腕で
ゆっくり、優しく俺の背中を擦りながら話しを続けた
「だけどそれは……今、潤くんを想うこの気持ちは、決して前に進むものじゃない」
「………」
「彼と過ごした日々を愛してる
狂ったように僕を愛した彼を愛しく思う
そんなにまで彼に深く愛された事を、……誇りに思う
…でもそれは、ソレ以上前に進むコトの無い想いなんだ」
「………」
「僕はね、翔くん」
智くんが、自分の首筋に押し付けられた俺の顔を上げさせる
正面で見つめ合った智くんの瞳が
涙を湛えて揺れている
「貴方だから、潤くんの元から飛び出すコトが出来たんだよ
他の誰でもない
翔くんだったから、僕は彼の元を去る決心が出来たんだ」
「……智くん……」
「僕はきっと、潤くんと過ごしたあの狂った愛の日々を忘れられない
だけど
共に未来を歩みたいのは、彼じゃない
僕の未来には、翔くん……貴方しか要らない」