第24章 初ガチ喧嘩、の巻
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「ん〜…」
僕は生返事をしながら、細かく千切ったタルトをフォークで刺すと、ぱくっと頬張った
ソレを見ながらまたちまっと紅茶を飲んで二ノが言う
「ん〜、じゃなくて。どうしたんすか?」
「ん〜……」
僕は、タルトを飲み込むと、カフェオレを一口飲んだ
「だからね?誕生日がさ…もうすぐじゃん?」
「あんたの?」
「うん」
また一口大に千切ったタルトを口に運ぶ
「で?」
タルトをちまちま食べる僕を見て、二ノがほじくり出した栗を食べ出す
僕は、タルトを食べながら言った
「だからね?……今年の誕生日はさ、月曜日だからさ……僕、普通にバイトとか入れて、ドコも行かないと思ってた訳ね?」
「うん」
「んでもさ、……翔くん随分前からお休み取っててくれてたみたいでさ、……ドコか行きたいトコないのかって訊かれてさ」
「無いんですか?行きたいとこ」
「ん〜……」
フォークをくわえて暫し考える
「…………何も思い浮かばない////」
「じゃあそう言えば?」
二ノは、栗を食べ終えたようで
今度は本体を食べながら言った
「思いつかないって言ったら、櫻井さんが大野くんの好きそうなトコ見つけてセッティングしてくれんじゃない?」
「そうかなぁ……」
「何だお前ら、ココの会員になったのか?」
(………え?///)
せっかく翔くんが訊いてくれたのに、ソレじゃ申し訳ないよなぁ
なんて思って、フォークをくわえたまま首を傾げたら
聞き覚えのある低く甘い声がした
「………」
ビックリして固まる僕をチラリと見て、二ノがズズッと音を立てて紅茶をすすった
それからカチャリとカップを置くと、僕の後方をチロンと睨んだ
「……とうとう出たな、エロ潤」
「だから、エロ潤はよせ」
僕は、こっそり深呼吸してから、ゆっくりと振り向いた
「……潤くん///」
「よ、智………元気そうだな」
僕の後ろに立って、じっと僕を見詰めながら
潤くんが、お代わりしたタルトよりも甘い顔をして笑った
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