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cry with happiness ※完結

第1章 8月の夜



その後、彼女とは交際を続けながらも中学を卒業するまで色んなことがあった。
血のハロウィンでの場地の死、一虎の逮捕。
聖夜決戦。関東事変でのエマの死、敵である稀咲、イザナの死…。

俺が大事に守ってきた東卍も、気付けば創設メンバーは半分になっていた。
兄貴の死から始まり、あまりにも多くの犠牲を出し続けたこの中学生時代の終わりに、俺は未来からタイムリープして来たというにわかには信じられない花垣武道の言ったことを信用する事とし、東京卍會を解散させた。
それが大事な皆の幸せに繋がると信じたからだ。

しかし、一つ一つ大事なものが指の隙間からすり抜けていく事に自分の中に潜む黒くドロドロした衝動や、自分が自分じゃなくなるような感覚は徐々に芽を出し始めていた。

俺は東卍の主要メンバーを圧倒的な暴力でねじ伏せて嫌われる事により完全に決別した後、高校生になった彼女を夏祭りの日に祭りへは行かず、海岸へと連れ出した。
近頃は色々と理由を付けて意図的に会う回数を減らしていた。

「祭り、連れて来てやれなくてごめんな。」

「ううん、また来年来れるでしょ?」

「……………。」

「…久しぶりに乗ったけどやっぱりバブはかっこいいね。」

「あぁ。」

「高校って夏休みも大変でさぁ、もう課題多くてイヤになっちゃう!」

「そっか。」

「でも万次郎が高校行けって後押ししてくれたから行けたの。ありがとね?」

「ん………。」

「万次郎、ちゃんとご飯食べてるー?少し痩せた?」

いつもより口数多く、務めて明るくオレに話しかけているのは明白だった。
勘がいい彼女の事だ、何か思う所があるのかもしれない。
ふっと潮風が吹いて彼女の髪を揺らす。


「万次郎…何か話しあるんだよね?」

「…なんで分かった?」

「ここ、大事な場所だから…大事な話がなきゃわざわざ来ないかなって。」

「…あぁ、オレと別れてくれ。」

「え…。」





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