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cry with happiness ※完結

第4章 息が出来ないほど



「…マイキーよく聞け、関東卍會の奴らはほとんどパクられた。三途と九井は傷害と強姦で逮捕だ。奴らは余罪もあるらしくてな、しばらく出て来れねぇ。関東卍會は壊滅した。」

「あぁ…。」

「あの日完全に負けを認めたからな、もうマイキーをどうこうしようってのはねぇだろうよ。」

「………。」

重い空気が流れる、口を開けたのはケンチンだった。

「問題はさくらちゃんだ。九井に犯られた上に、オマエに見られた事に対して相当傷を負ってるだろ。」

「相当やつれてたな、メシ食ってねぇんじゃねーか?」

「分かってるよ…。」

「マイキー、絶ッ対ェ目を離すなよ。今度はオマエが支えてやれ。」

「マイキーに決別された二年間、一番苦しんだのは俺らでもねぇ、さくらちゃんだぞ。」

「…分かってる。ちょっと一人にしてくれねぇか…。」

「あぁ。」

「またな。」

「マイキー君、お大事に。」

そう言って扉がソっと閉まる。
俺はベッドに腰掛け頭をクシャクシャと掻きむしった。

彼女が一番苦しんだ?分かってる、言われなくてもそんな事。
分かってるはずなのに…何故だろうこの得体の知れない不安感は。
俺は本当に知っているのか?知っている振りをしているだけじゃないのか。
ふと時計を見る、彼女が病室を出てから30分が経とうとしていた。

俺は一向に帰って来ない彼女が心配になり、松葉杖を使い脚を引き摺りながら院内を探し回った。
残るは屋上だけだった。開けるとフェンスから地上を見下ろす彼女が居た。

「さくら…?何してんだ?」
「………。」
「さくら!!」
「あ、万次郎…。どうしたの?そんな大声出して…寝てなきゃダメだよ?」
「オマエ…今何考えてた?」
「…ん?万次郎が…目覚めて良かったなぁって。」

そう言うとニコッと笑って見せた。
その笑顔と対照的に、オレは背筋が凍る思いをした。
もしかして、飛び降りようとしていた?





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