第3章 瞳に映るは
ドンッ、今度は胸付近を刺された。怪我の為少しだけ反応が遅れたが、傷は極浅く致命傷にはならないだろう。
俺は春千夜のコメカミに蹴りを放った。二度と起きないよう髪の毛を掴んで何度か殴り失神させた。
「三途の野郎やられてんじゃねーよ…、テメェらマイキー押さえとけ。もうちょっと楽しんだら射精すからよ。俺のガキ産んどけ。」
「嫌!!うぅっ、やめてぇ…!赤ちゃん出来ちゃう、中に出さないで、お願い、お願いします…あっあうぅ、痛い…万次郎、痛いよぉ…!」
泣き叫びながら九井に懇願し、俺に助けを求める悲痛な声が頭に響く。
「止めろ九井!!!」
「止めねぇよ、マイキーの女を寝取るのが最高に気持ち良いんじゃねーか。」
「この外道が…!」
「テメェら、女ぁ動くから身体押さえとけ。ヤリずれぇ。」
九井はそう言って正常位に体位を変えると、彼女の両足を広げ固定させた。
犯されている所がモロ見えになり、血管がキレそうなほど頭に血が上って行く。
自分自身も何人かの部下に身体をガッシリ押さえ付けられ、刺傷と六波羅単代から今までの殴打の影響で思うように身体が動かない。
「万次郎、もう…いいから…ありがとう…。」
「良くねぇ…諦めんな!」
「諦めんな?もう詰んでんだよ!見て分かんねぇの?この後オマエはオマエの部下に殺されて終わりだよ!」
視界が白く霞んでいく、もう終わりなのかもしれない…でも諦める訳にはいかなかった。
何とかして押さえ付けてきた奴等を振りほどき殴ると、九井を引き剥がして顔面を蹴り飛ばした。
「大丈夫か、さくら!…さくら?」
「ん…万…次郎?」
何度か顔面を叩かれたのか、顔が真っ赤に腫れていた。不幸中の幸いか、射精には至っていなかったようだった。
しかし目から光は消え失せ、虚ろな表情で俺を見上げながら口を開いた。
「万次郎、血いっぱい出てる…大丈夫?」
「俺は…大丈夫だ…こいつら全員伸したら終わりだ、待ってろ。な?」
「もう、満足だよ。万次郎が…助けてくれた…から。」
ボロボロになって満身創痍なお互いの状況を理解し、悟ったように力なく笑っている。
「…逝く時は一緒、か…。」
「うん…約束、したでしょ?」
俺は彼女の身なりを整えると壁にもたれかけ、床に座らせてやった。