第3章 瞳に映るは
「……………。」
「無敵のマイキーが女の為にチーム解散させるとか有り得なくね?しかも入水自殺までしようとしてた。俺らを残して!」
「失望したわマイキー。やっぱ殺す。」
「どっちがいい?マイキー。チームを続けるか、俺らと殺るか。俺らと殺るならこの女犯すけどな!」
九井が彼女の髪の毛を掴み顔を上げさせると、俺を煽った。
俺は迷わず答えた。
「俺を殺れ、抵抗しない。さくらには手ぇだすな。」
「はっ…どの道もうオレらがついて行く器じゃねーな。じゃあオマエを殺す。さくらチャンは解放してやるよ。」
「九井、テメェが名前呼んでんじゃねぇよ。」
「万次郎!やめて!死んじゃったら終わりなんだよ?」
「うるせーよ、誰が喋っていいっつった?あ?」
九井がガッと彼女の肩を蹴り飛ばした。
衝撃でゴロンと転がり、苦悶の表情を浮かべている。
いくら細身に見えても、喧嘩ばかりして来た男がバイカーブーツで蹴り飛ばせば痛みも相当なはずだ。
「うぅっ!!」
「オイ、今すぐ解放しろ!」
「ダメだ、見てて貰わねーとつまんねぇだろ?この女には一生モンのトラウマ植え付けてやるよ。」
「オマエらさっきからうるせーよ。マイキー殺すから黙ってろや。」
黙っていた春千夜が俺を睨み付ける。視線を逸らさずにいると、いきなり顔面を殴られた。
オレは防御せずに拳を受け入れた。
「安心しろ、死ぬ直前まで行ったらちゃんと女解放してやるからよ。そしたら安心して地獄に行け。」
「約束しろ。絶対だ。」
「しつけーな…オマエ本当にあのマイキーなのか?これ以上失望させんなよ。」
「…どれも本当だ。オマエと会った時から変わんねぇよ。東卍の奴等も皆自分の道見つけて生きてる。俺のタイミングが今なだけだ。それがいけねーことか?」
「俺はテメェに憧れてた…それも今日で終わりだ。伝説のまま殺してやるよ!」
「……………。」
春千夜のイカれた視線が突き刺さる。
オレは振りかざされた拳を真っ直ぐ見据えた。