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神室町の女探偵【JUDGE EYES】

第2章 【同業者】


『もう良いですよ。貴方に譲ります、八神さん。』
「えっ!…本当にいいの?」
『えぇ、勿論です。先輩探偵としての威厳を守るために貴方たちの顔を立てさせてさしあげますよ。感謝して下さい。…まぁこれ一つ逃したくらいで貴方たちに信頼性を勝ち取られる気もしませんから。』

嫌味とも取れる態度を隠しもせず堂々と曝け出す香。
顔が美人なだけに性格が苦手なタイプの女性だったと知り、海藤は顔を引き攣らせた。

「香ちゃんよぉ…もうちょっと言葉優しく控えめな方が良いんじゃねぇか?俺ぁ強気な女も好きだけどよぉ…。モテる女ってのはなぁ、『私は貴方に好かれたいわけでも男性にモテたいわけでもないので。余計なお世話です。』お、おう。」
『でもまぁ、』

香は海藤から視線を外すと真っ直ぐに真剣な眼差しで八神を見つめた。

『ただその辺で廃れていく探偵とは一味違うと…不本意ですが認めています。』
「…それはどうも。」
『って事で源三くん、手続きよろしくねー。』
「はいはい、分かってましたよぉ…。」
「…?源三くん?」

香は胸ポケットからスマホを取り出すと画面を見せた。
そこには千葉源三という名前と通話中の文字。

「まさか、ずっと通話中になってたのか⁈」
『はい。鵜沢を追っていた時からずっと。スマホって色んなことに活用出来て便利なんですよ。』

そして通話の終了ボタンをタップすると胸ポケットにしまう。

香はゆっくりと立ち上がると八神に一度お辞儀をした。

『コーヒーご馳走様でした。…では私はまだやる事があるので失礼します。』
「また来ても良いけど?」
『その予定はありません。では。』
「あっ!ちょっと待って、これ。」

八神に手渡されたのは1枚のカード。
八神探偵事務所の名刺だ。

『…もう関わるつもりもないので不要ですよ。』

そう言ってしっかり名刺を胸ポケットにしまい、颯爽と帰る香を見送る八神と海藤。





もう関わるつもりがないと言い切った香。
そんな彼女がまた彼らと嫌でも関わる事になるとは思いもしないだろう─────、

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