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鬼滅短編集

第1章 ある徒人の日記


それは、ある日のことでございました。

友人宅に届け物の最中、私は気付かぬうちに早足になっておりました。
以前より友人が欲していた砂糖菓子が予定より早く手に入ったのです。
花の模様を象ったそれはとても可愛らしく、一刻も早く友人に見せたいと気が急いていたのでしょう。

(喜んでくれると良いわ…)

そんなことを考えながらだったからか、私は角を曲がろうとした時、反対側から人が来ていることに気がついておりませんでした。
ぶつかった方が大柄な方だったのでしょうか、反動で転んでしまいそうになったのです。

(いけない、せっかくのお土産が…!)

手元の砂糖菓子に気を取られ、自分の身を庇うことも忘れていた私は、ぎゅっと目をつぶり、もうすぐくる衝撃に備えるしかありませんでした。
…しかし、実際には転ぶことなく、不思議に思った私が恐る恐る目を開くと、目の前にはとても意思の強そうな瞳があったのです。

(ひっっーー‼︎)

思わず息を飲みましたが、その瞳はしっかりと私を捉えると、ことのほか大きな声で私にお声をかけてくださいました。

「大事ないですか!」
「は、はい…」

声もまた男らしい方でした。
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