第11章 クリスマス事変(シュヴァリエ)
そう言うなりシュヴァリエ様に襲い掛かった族は、蹴り飛ばされた。瞬殺だった。アッパーを食らった敵が私たちの前に飛ばされたが、完全に気絶しているようだ。よく見ると近くに歯が転がっている。
わらわらと現れる族を地面に頭から叩きつけ、みぞおちを殴り、鼻を折り…… 華麗な体術で全員沈め、立っているのはシュヴァリエ様だけだった。
場はしんと静まり返っていた。子供たちは余計怖がってしまっただろうか。
「みんな……」
この人は守ってくれたんだよ。そう言おうとした時だった。
「すげー!」
「かっこいい!」
「え……」
「……」
子供たちはぽつんと立っていたシュヴァリエ様に駆け寄り、次々に賞賛の言葉を浴びせた。
「こくおーへーか強いんだねえ」
「俺もへーかみたいに強くなりたい!」
「……精進しろ。使えるのであれば騎士として雇ってやる。」
そう言ったシュヴァリエ様は穏やかな笑顔をしていた。私が好きな、目元が柔らかいあの笑顔だ。族は全員連れていかれ、にぎやかになった広場でプレゼントのかごを手に私もシュヴァリエ様に駆け寄る。
「メリークリスマス!」