第10章 束の間の夢(ギルベルト)
城に帰って早速湯船にお湯を張ってもらった。わーう……と些細な抵抗を続けていたギルベルト様は諦めがついたようだ。私を見つめる瞳は『仕方ないな。あなただから許すんだからね?』と言っているようだった。
服を脱いでギルベルト様が溺れないように手でしっかり抱えて湯船に浸かった。
ポンッ
どういうわけか音がしたと思うと子虎は裸のギルベルト様に戻っていた。
「えっち」
このままここにいてはいけない気がする。そんな予感がした私はそろっと湯船を出る。……がギルベルト様がそんなことを許してくれるはずはなく、お腹に腕を回されて呆気なく湯船に引き戻された。
「俺とのデートは楽しかった?」
「はい……楽しかったです。」
「そう。でもわざわざ俺が無力な子虎になってるときに行かなくてもいいよね?」
「はい……でもあまりにも可愛かったので……」
「あなたは嘘はつかなくなったけど本当のことを言うようになったわけではないよね。罰としてあなたの身体は俺が洗ってあげる。」
きちんとお尻まで洗われた私はしばらくベッドに顔を埋めていたのだった。