第3章 好奇心はルート解放の鍵(キース)
明確な拒絶と予想だにしなかった自虐に、気づけば行く手を塞いでいた。
「っ…ちょっと待ってください!キースさんが空っぽな訳ないじゃないですか!貴方は気遣いと優しさの塊で、他人の幸せを喜べる素敵な人です。キースさんに支えられて励まされた民はきっと多いと思いますよ。少なくとも私から見て、王子としても人としても立派です。」
「俺はいつか裏切って――」
「え」
「ああいや、何でもないよ。その言葉は君にこそピッタリだと思う。それとごめん。プレゼントを貰えると思ってなくて、俺は何も用意してないんだ。帰国してからお礼を贈るね。」
「……お礼は手渡しにしてください。また春に訪問される予定ですよね。」
眉尻を下げながらも、キースさんは頷いて部屋を出ていく。心の底から迷惑だと思われているかもしれない。立場を考えれば、次会う約束なんて取り付けない方が良かっただろう。
1人になった部屋で声にならない呟きを落とす。
「キースさん…本当に冷たい人は相手を裏切って傷つけても、気にしないんですよ。」
逃げるように部屋を出たキースは壁に背を預け、息を吐き出す。
「どうかしてる。傷付けてしまうのに、欲しいなんて。」
ネッグウォーマーを握りしめた手は震えていた。