第2章 ハネムーン(クラヴィス)
上陸して数時間。辺りはオレンジ色に染まり、吹き抜けた風に身震いをする。恋人未満だった頃のあの時のように、私達は一緒に砂浜を歩いていた。あの日と違うのは、隣に居るのは夫で、手を繋いでいることだろうか。
「ふふ…困った所を含めて、クラヴィスさんに惚れたのは私でしたね。」
「ああ…俺もここまでベルを愛してしまうとは、思ってなかったぞ?」
「んむっ」
腰を抱き寄せられ、全てを奪うようなキスが降ってくる。紳士とは程遠い、性急なキスだ。
「はぁっ…も、もう。これからご飯食べるって話だったじゃないですか。まだお預けですよ。」
「ははっ、折角ベルがデレたんだ。襲わないのは失礼だろう。」
「私楽しみです!クラヴィスさんの晩ご飯!まさかあんな紫色のキノコが食べられるなんて、思いませんでしたよ。」
「キノコも見た目ではないという事だな。俺が愛をこめて料理してやるから、全部食べろよ?」
そう言いながら、クラヴィスさんはマントで身体を包んでくれる。
クラヴィスさんの手料理は見た目はグロテスクだが、最近本当に美味しくなっていた。
「ええ確かに…愛、ですね。」
無人島で2人きりも悪くないかもしれないって、思えちゃうな。クラヴィスさんと一緒なら…