第2章 ハネムーン(クラヴィス)
「さてベル、結婚式の次には何が来ると思う?」
「初夜ですか?」
「そう、新婚旅行だ。」
そんな数日前の会話が懐かしく感じる。馬車で国境を越え、船に乗り、目隠しされて連れていかれた先は、木々が無作為に生い茂る島だった。
「無人島だ。新婚夫婦には2人きりの環境が必要だからな。はははっ!」
「じゃあ、何かあったら狼煙をあげてください。」
「いやーーっ!シリルさん助けてーー!」
「すみませんお嬢さん、クラヴィス様の命令なので。」
嘘でしょ…
呆然とする私の隣で、クラヴィスさんは高らかに笑う。
「安心しろ。今は無人というだけだ。寝泊まりできる愛の巣はある。」
「ああ…本当に良かったですそれは。」
「はははっ!俺は紳士だからな。妻を野宿させはしない。楽しい旅行になりそうだな、新妻殿?」