第8章 背徳

あの後、彼は仕事に戻った。



滞在時間は1時間半。



その間、ずっと私をイかせ続けて、彼がイッたのは最後の1回だけ。



彼が帰った後、私は彼の職場に電話をして。



「ちょうど宅配の山下さんがいらっしゃったときに私が貧血で倒れて怪我をしてしまって、家族が戻るまで丁寧に介抱して下さいました。職務を離れさせてしまって申し訳ありません。あの方には本当に感謝していますので、どうか穏便に、寛大なご処分をお願いいたします。願わくば、あの方が引き続きウチの宅配ルートを担当していただけると嬉しいです」



…私は平然と嘘をついた。



彼は連絡もなく救急車も呼ばずにと注意を受けたけど、事が事だし、フォローの電話も来たのでおとがめなし、ということで収まったらしい。