第5章 リビング
一言だけ小さく答えた彼は、私を軽々と抱き上げてくれた。
たくましい首に抱きついて、玄関の廊下を運ばれる。
お姫様抱っこなんて、あの人はやってくれなかった。
力強い腕に身体を委ねるのが、こんなに幸福な気持ちになれる事だったなんて…。
「内村さん、ずっとおれのこと誘惑してくれてましたよね」
「え?」
「いつもの優しい笑顔も嬉しかったけど、日に日に露出が増えていくから、いつも辛かったんです」
確かに、いつも山下さんが来るときにあわせてミニスカートを選んだり、シャツを薄手の物にしたり、ノーブラでタンクトップ&ショートパンツだけにしたり…。
「ご、ごめんなさい」