第3章 暴走

嬉しいけど、これ以上はダメ。



あの人に言い訳できなくなっちゃう。



「山下さん、私…」



「大丈夫です。もう何も言わないで。どうしてもイヤなことがあったら、その時だけ教えてください」



彼は強引に私の言葉を遮って。



私を包んでいた腕を放すと、すぐに肩を掴んでくるりと振り返らされる。



すぐ正面にあったのは胸板、その上に太い首と喉仏、顎、唇、鼻筋、そして、私を見つめる優しい瞳。



「内村さん、キスします。嫌なら顔を背けて…」



そんなのズルい。



ゆっくりと山下さんの顔が近づいてくる。



ダメ、許しちゃダメ…。