第2章 5月
「…、ふぅ…」
3日目は朝一で旅館を出て、昼過ぎには家についていた。
疲れた身体をベットに沈ませて、この数日にあったいろいろなことを思い出していた。
桜の想いを知り、桜にも想いを知られて…
壊れると思っていた桜との関係はライバルになっただけで、特に変わりはなかった。
桜は、私に「勝てるかな」って言ったけど、私自身は、桜に勝てるのかとても不安で仕方がなかった。
桜は、可愛いから。…優しいから。
そんな性格を誰よりも知っているくらい仲良しだから。
三ツ谷くんがどちらと付き合っても、桜に嫌われることはないし、私が嫌うこともないけど、
辛い運命だなぁ、って。ほかの人好きになれたら楽なのになぁって。
そんな思いがぐるぐると心を巡っていた。
「やめやめ…!」
どれだけ考えていても答えなんて出ないし、
結果的に旅行自体は楽しかったから、私は考えることをやめて日常に戻っていった。