第2章 5月
つい2日前のこと。
日本はGWという名の大型連休に差し掛かっていた。
夏休みも最高だけど、新しい学年に上がって疲れてきたころにあるこの大型連休は本当に幸せの極みだ。
…のはずだ。
5月1日の今日、もう少しでお昼を迎える時間帯。
急にあの男に武蔵神社へと呼び出された。
そして…、
「旅行行こうぜ!!」
「「「「は?」」」」
大きな荷物を抱えたお騒がせ男、マイキーがとんでもないことを言い出したのだ。
マイキーの両隣では、やれやれ…、と言いたげな三ツ谷くんとわくわくした様子のエマがこれもまた大きな荷物を抱えていた。
意味が分からないという声を出したのは、私を含め、ドラケン、場地、千冬、たけみっちである。
ヒナに至っては、わぁっ!と歓喜の声を上げていた。
「三ツ谷の知り合いが熱海で旅館やってんだってー。そことってもらったから行こう!2泊3日!」
何度も言うが、この男、急である。
だけど、それに振り回されるのは慣れている。
それぞれも諦めたように一度家に帰って荷物をまとめる。
私も三ツ谷くんのバイクに乗せてもらい、荷物を取りに帰った。
「振り回して悪ぃな。」
「どうせマイキーが言い始めたんでしょー!」
「まぁな。」
「私は、………よ!!」
バイクに乗せてもらいながらの会話は、風に消えないようにそれなりに大きな声だ。
でも、肝心な言葉は、あえて聞こえないように言った。
「なにー?」
「なんでもなーい!楽しみだね!」
私は、嬉しいよ。
三ツ谷くんのいく旅行に誘ってもらえて。