第1章 4月
「ごちそうさん。美味かったわ」
「それはよかった!」
「なぁ、泊ってもいい?おふくろ明日オフだから家にいるし。ちゃんと朝帰るから。」
「…はい?」
食べ終わって、食器をシンクへ運んでいると、三ツ谷くんからとんでもない言葉が飛び出した。
ダメと言いたいが、ここまで一緒に居たら三ツ谷くんと離れたくないという気持ちも膨らみ始めていた。
「ダメか…?」
好きな人に少し寂しそうな表情をされて、ダメと言えるわけがない。
「三ツ谷くん、ずるいよ…。わかった。」
「ありがとな」
三ツ谷くんは心の底から嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
あんなに二人でいることが恥ずかしかったのに、なぜだか、三ツ谷くんと一緒だと心が暖かくなる。
私は、お風呂のお湯張りボタンを押してから、食器を片付けた始めた。
三ツ谷くんも片づけを手伝ってくれたため、いつもより早く終わった。
「よし、そんじゃ、コンビニ行ってくるわ。さすがに下着は変えてぇし。」
「あ…。ちょっと待って。」
巻くっていた袖を下ろしながら言う三ツ谷くんに待ったをかけた。