第1章 出会って三日
…どうやら私、タイムスリップしたらしい。
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――…気づけば燃え盛る本能寺で、
織田信長を助けていた。
豊臣や明智の名が飛び交う中で、少々パニクってしまった私は、猛ダッシュでその場から逃げ出した。
逃走した私を 豊臣秀吉が殺し屋の顔で追っ掛けて来るもんで、真っ暗な藪の中へと入ってしまったじゃないか…
葉っぱや枝が顔にぶち当たるのを気にする余裕もなく、身を隠しながらひたすら必死に走った。
そして ――ドスッ! と人にぶつかったときは、
『 …あ、おわった。』 そう思って気を失ったわ。
――…目を開けると男達に囲まれていて...
豊臣秀吉に捕まったと思っていたけど違ったみたい。そこにいたのはまた別の男達で、私を射殺すような目はしてないけれど 今の状況がとても良いとも思えなくて後退しかけてると、その中の一人の男性がこう言ったの。
「僕のこと覚えてない?」
「・・・?」
記憶をたぐり寄せてみたけど、私にこんな忍者かぶれした男の知り合いはいない。
覚えていないと答えれば、他の三人の男達から少し離れた所で、今 私の置かれた現状を説明された。
私は、ちょっと歪んだ戦国時代にタイムスリップしていた。 やっぱり。
薄々感じていたタイムスリップ説が、佐助という同じ現代から来たという人の話で確信に変わった。
言われて見れば、こっちに落ちる前彼の顔を見た気がする。
その佐助と一緒にいたのは、戦国武将の武田信玄、真田幸村、そして上杉謙信だった。
本当に歪んだ戦国時代らしく、
戦国武将が恐ろしくイケメン揃いではないか。
現代仲間の佐助くんという味方を早々獲得した私は、彼の口利きで上杉謙信の城で預かってもらえる事となり、この状況下では悪くない滑り出しを切っているように思えた。