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【R18】アイナナ短編集【TRIGGER】

第1章 My destiny


「さすがサラ!いつもと違う雰囲気だな」

「うん…君って本当に、化けるよね」

『え?えぇ?!』

姉鷺さんに連れてこられた部屋に居たのは、これまた予想外の人物2人だ。
私は無意識に頬をつねっていた。

楽:「おいおい、夢だと思っているのか?」

天:「まぁ、普通じゃ有り得ないよね。オフのTRRIGERが揃っているホテルに、呼び出されるなんて」

姉:「2人とも、それくらいにしなさい。今日の私たちは、黒衣なんだから!」

(こんなに色々な意味で目立つ人たちが、黒衣になりきれるはずがない!)

心の中でツッコミを入れ、私は痛みを感じた頬を撫でて現実だと再確認する。

(それにしても、龍之介は居ないのかな?)

私が不思議そうな顔を浮かべていたのだろう。
それに気づいた姉鷺さんが、意味ありげな表情で私へ視線を向ける。

姉:「もうサラちゃんったら、そんなに気になる?龍のこと」

『気になると言いますか…どちらに、いらっしゃるんですか?』

目の前で起こっていることに、まだ思考が追いついていない私。
普段以上に丁寧な言葉で返事をしていた。
姉鷺さんは口の端で軽く笑って見せてから、部屋の奥へ呼びかけた。

姉:「ほら、龍。サラちゃん、来たわよ。こっちに来なさい」

すると、いつも龍之介が纏う香水の香りと共に、緊張した面持ちの彼が現れた。

龍:「えっと…いらっしゃい…サラちゃん…」

楽:「お家デートかよ」

天:「お家デートじゃん」

姉:「黒衣は黙っているの!」

すかさず、容赦のないツッコミが入る。
私は、彼らの他愛のないやり取りに自然と笑みが溢れた。
そして、さっきまでの緊張と思考回路が混乱していたことを忘れて、とびきりの笑顔を龍之介に向けた。

『今日は誘ってくれて、ありがとう!』

龍:「うん。こちらこそ、来てくれて嬉しいよ」

私につられて、龍之介もやっと笑顔になる。

楽:「サラも生真面目に返すなよ…」

天:「設定無視して、2人だけの世界に入っているね」

姉:「あんたたち、口にテープ貼るわよ!」

相変わらず黒衣に徹しない2人に、姉鷺さんの鉄槌が下されそうになる。
目の前で繰り広げられるコントのようなやり取りに、龍之介と私は顔を見合わせて笑い合った。
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