満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第44章 第三者の恋心《宇髄天元》
俺の初恋だった。高校の入学式で会ったときから一目惚れ。そう聞くと可愛いとか綺麗とか外見だけで好きになったのかよと思われそうだけど、それも大いにあるが、その子の持つ雰囲気だとか、柔らかさとか、仕草とか、もう全部釘付けになってしまったのだ。
幸運にも出席番号が近く、席が前後になって、それなりにクラスメートとして接することも多かった。
俺の想い人こと澤村波奈は分け隔てなく全員と仲が良い、優しい、しっかりしてそうで天然。
たちまちクラスの人気者になって、いや、学年中、学校中のマドンナ的存在だった。
「紫藤くん、部活は行かなくても大丈夫なの?」
放課後、教室で2人きり。ホワイトボードを真っ白に仕上げていたら、後ろから焦ったように澤村波奈が声をかけた。
「ごめん気づかなくて!後はやっておくから部活に行ってね」
「あーー、いいよ。日直って言えば遅れても良いし」
日直。澤村と、紫藤。
ここでも幸運なことに2人で組むことになった今日一日。
幸運を噛み締めながら、日誌を書いてる波奈の隣の席に座った。
窓側後ろから2番目、夕日が差し込んで埃がキラキラと舞っている。
澤村波奈の薄い色素の髪色もそれに照らされて綺麗だった。
「そうなの?…じゃあ、一緒に提出物チェックしよう」
「おう、まかせとけ」
三連休明けの宿題の提出物は多い。
数学、国語、英語のノート、それに加えて選択教科の美術のプリント課題までもが提出チェックしなければならなかった。
…まあ、澤村と一緒に作業できるのだから、俺は幸運の女神がついているようだった。