満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第40章 もちつきぺったん※《宇髄天元》
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時を戻して昨夜のこと。
満月に近い月で夜空は派手に明るい。
任務が早めに片付いた宇髄は、音屋敷の縁側に座りながらそのまん丸い満月を機嫌良く見上げた。
「やーーーん、かわいいいい!」
玄関のほうで須磨が騒いでる声が聞こえた。
なんのこっちゃとその騒ぐ声に向かうと、珍しい客人がげっそりと疲れてそこに立っていた。
「なんだぁ?騒がしいな、どうしたよ」
「天元さま天元さま!波奈ちゃんが!」
「宇髄!はよこいつをなんとかしろォ」
同じ柱の不死川実弥が、くったりと寝ている波奈を背中に担いで、よいせとこちらに渡してきた。
波奈は気持ち良さげにくーくー眠っている。起きそうにない。
宇髄は不死川から波奈を受け取るーーーが、波奈の様子がいささかおかしい。
「………これはどういうこった」
「血鬼術にやられたァ。鬼は切ったから日を浴びたらそのうち治るらしいぞ」
不死川は心底疲れているようで大体の経緯を話すと、
んじゃァ、後のことは知らねェ、と早々と音屋敷を後にしていった。