満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第37章 血鬼術を解いてよ宇髄さん2※
「も、申し訳ありません…っ!文を送ろうと何度も何度も筆をとったのですが、」
「とったのですが?」
「………なんていうか、……は、恥ずかしくて居た堪れなくて」
「…ふーん」
ペコリと頭を下げたつむじを見る。耳は真っ赤っかだ。
あぁ、可愛いな。
恥ずかしくて居た堪れない、か。
怒って、もしくは悲しんでいたらどうしようかと、そんな小さな可能性を考えてもやもやと考えてしまった自分が情け無い。
蝶屋敷へ行こうかと何遍も思ったが、そうする勇気が出ないほどに波奈の文がないことに、宇髄は勝手に傷ついていたのだ。
「んで、お前アザはまだ完全には消えてないらしいな。
どうすんだよ」
「……」
頭を下げたまま黙る波奈。
そんな波奈の手からひょいと洗濯物カゴを奪った。
「…音柱さま?」
「手伝ってやる」
「ええぇえ?良いですほんと、あなた柱でしょう?
おやめ下さい!」
困惑した波奈が洗濯物カゴを取り返しに手を伸ばすが、宇髄は気にせずつかつかと廊下を進む。
「ちょ、…っ音柱さま!」
「かまわねーよ。俺は今日一日非番だ。
それによく女房たちが洗濯物は大変だと聞いてんだよ」
そう言うと、波奈はどうしてか一瞬カチンと固まって、それから「では……よろしくお願いします」と案外あっさりと引き下がった。